憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 木崎センパイのお母さんに頭を預けながら、ケーキを食べた。

 ワタシは、人に髪を弄られるのが割りと好きだ。

 複雑な気分になりながらも、やっぱり心地良い。

 「どう?? 可愛いでしょ??」

 木崎センパイのお母さんに手鏡を渡され覗くと、木崎センパイのお母さんの器用な手によって、ワタシの頭はパーティーにでも出るかの様な華やかな編み込み姿になった。

 「・・・おぉ・・・スゴイ」

 ここぞとばかりにやってくれましたね、木崎センパイのお母さん。

 これ、解いたら髪の毛チッリチリになりそう・・・。

 弟に見られないように解かなくては・・・。 アイツは絶対『チン毛頭』って言ってふざけるに決まっている。

 鏡を見ながら、帰宅後の心配をしていると、

 「全然帰って来ないから、どんだけデカイうんこしてんのかと思ったら、これからどこぞのパーティーに出席するつもりなの?? 早川さん」

 気付かぬ間にリビングのドア付近に立っていた、明らかに機嫌の悪い木崎センパイから、刺々しい言葉が飛んできた。

 きっとワタシに、木崎センパイのお母さんと仲良くなって欲しくないのだろう。