憎悪と、懺悔と、恋慕。

  
 なんとなく『ワタシ、ここでバイトしてるんですよ』とは言わなかった。

 『じゃあ、今度主人に連れてってもらうわー』とか言われそうだから。

 木崎センパイのお母さんを嫌いなワケじゃない。

 むしろ、キレイで明るくて可愛くて大好きだ。

 でも、母がしてしまった事を思うと、苦しいんだ。

 こんな風に親切にされたり、笑顔を向けられたりすると、申し訳なくて。

 辛い。

 ごめんなさい。 ごめんなさい。 木崎センパイのお母さん、ごめんなさい。

 謝れたら、どんなに楽だろう。