憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 ----------涙が込み上げる。

 「・・すいません。 お手洗いお借りできますか??」

 お母さんへの怒りで、涙が滲む。

 この涙を、『木崎センパイへの同情』と勘違いされたくなくて、逃げ場を探す。

 こんな涙は見せたくない。 見せちゃいけない。

 泣いたりなんかして、これ以上木崎センパイを追い詰めちゃいけない。

 「・・・うん。 トイレはリビングの向かい」

 木崎センパイは俯いたまま、ワタシの方を見なかった。

 泣きそうな事は気付かれていないだろう。

 木崎センパイの部屋を出て、急いでトイレに逃げ込む。

 目と鼻が赤くならない様に、顔を手で仰ぎながら泣いた。