「てゆーか、彼女じゃないから」
木崎センパイは、キッチリ誤解を訂正すると、適当に靴を脱ぎ捨てて車椅子の後ろに回った。
慌ててワタシも靴を脱ぎ、木崎センパイの靴と一緒に揃えて並べると、
「だからアンタはモテないのよ。 いつまで経っても彼女出来ないし。 早川さんより先に家に入って、靴まで直してもらうって、何事よ。 親として悲しいわ。 早川さん、ゴメンナサイね」
それを見ていた木崎センパイのお母さんが、木崎センパイの腕を『パシン』と叩き、ワタシに困った顔を向けた。
・・・彼女いないんだ、木崎センパイ。
てゆーか、
「モテてますよ、木崎センパイ。 ウチのクラスの女子、キャーキャー言ってましたよ」
こんなにカッコイイんだ。 モテないワケないじゃん。 沙希だって『カッコイイ』って言ってたし。
「早川さん、気を遣わなくていいのよ?? ウチの息子がモテるわけがない」
何故か自分の息子を全否定する、木崎センパイのお母さん。
木崎センパイが息子だったら、ワタシなら超自慢するのにな。



