憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 「奇遇ですね。 オレも結婚するのは10年後って思ってました。 大学6年。 インターン2年。 で、2年働いてお金貯めて結婚です」

 睨む早川さんのお父さんに『ニィ』と笑ってみせる。

 「『結婚です』じゃねーわ!!」

 早川さんのお父さんに今度はヘッドロックをかけられた。

 ・・・ヤバイ。 このヒト、結構本気でかけにきてるわ。 普通に苦しい。

 「やっぱりさっきのプロポーズだったんだぁ」

 早川さんが嬉しそうに『ふふふふふ』と笑った。

 「オマエは本当に馬鹿だったんだな。 莉子はあんなクソみたいなプロポーズで良いのか!?」

 オレへのヘッドロックを外し『目を覚ませ』と娘の肩を掴んで揺らす、早川さんのお父さん。

 「じゃあ、ちゃんとしてるヤツ言ってくださいよ。 木崎センパイ」

 早川さんが、口を尖らせながらオレを見た。

 「10年後にね。 それまでにもう少し料理出来る様になっててよ」

 10年後も早川さんと一緒にいたいと、心から思う。