憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 そんなオレたちの方に、親父が近付いて来た。

 「湊、折角だからお母さんの事はオレに任せて、莉子さんと出かけてくればいい」

 突然の親父の発言に、普通にビックリした。

 「・・・え??」

 親父はオカンの事を面倒臭がっているのだと思っていたから。

 「久々に2人でどこかに行こうか」

 驚くオレを他所に、今度はオカンに近付き、デートに誘う親父。

 「・・・・・・」

 戸惑い、返事が出来ずにいるオカン。

 「行ってきたらどうですか?? きっと何でも買ってくれますよ、ご主人。 豪華なレストランにだって連れてってくれるんじゃないですか?? ・・・ご主人、仲直りしたいんじゃないですか??アナタと」

 早川さんのお父さんが、そんなオカンを見兼ねて助け舟を出した。

 オカンは早川さんのお父さんに小さく頷くと、

 「・・・ワタシは、湊の為にしか我慢しない。 アナタの為になんか我慢しない。 離婚なんかしてあげない。 アナタの事は、絶対に許さない。 アナタはワタシの傍で一生反省して一生償い続けるのよ。 今日は、ワタシの為に惜しみなくお金遣ってくださいね」

 親父を睨みつけて、少しだけ笑った。

 「なんなりと。 ・・・嫌な思いさせてごめんな。 本当にごめん」

 親父がオカンの手を握ると、オカンはその手を握り返して子どもみたいに嗚咽しながら泣いた。