憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 早川さんが、目を大きく開けてオカンの方を見る。

 「・・・湊の事、『親離れ出来ないマザコン』だと思ってました。 なのに、いざ離れられると淋しいものですね」

 オカンが涙を流しながら早川さんのお父さんに微笑んだ。

 オカンに笑い返すと、早川さんのお父さんがオレたちの方に戻って来た。

 「良かったね」

 早川さんのお父さんが、オレの頭を撫でてくれた。

 「ありがとうございました」

 下げた頭を上げられない。 感謝してもしきれない。

 敵わないなと思った。

 いっぱい勉強した。 いっぱい脳ミソを鍛えたはずなのに、オレはただのコドモでしかなかった。

 早川さんのお父さんが、こんなに短時間で解決させた問題を、オレはただジタバタしてるだけで何も出来なかった。

 早川さんのお父さんみたいな大人になりたいと思った。