「・・・ワタシは、我慢っていつか限界が来ると思うんですよ。 莉子に木崎くんと付き合う事を我慢させて、いつか莉子の我慢が限界に達した時、莉子はきっとワタシの事を恨むでしょう。 莉子に恨まれるくらいなら、ワタシが我慢をして限界を迎えた時に木崎くんを恨む方が、ちょっとはましなんじゃないかと思うんです」
これを『苦渋』と言うのだろうか。 早川さんのお父さんの口から出てきた、切ない選択に胸が締め付けられる。
「アナタもそう思いませんか?? 息子に嫌われるくらいなら、莉子を嫌う方が楽だと思いませんか??」
早川さんのお父さんの問いかけに、オカンの目から1粒大きな涙が零れ落ちた。
「ただ、ワタシの方はもう、木崎くんに恨みは全くないんですけどね。 木崎くん、今、結構ギリギリの状態なんですよ。 ワタシにはそう見えました。 そんな状態の時にワタシを頼ってくれた事を、素直に嬉しく思いました。 今となっては息子の様に可愛い・・・スイマセン。 嘘吐きました。 やっぱり息子の方が可愛いですが、でもそのくらい可愛く感じます。
娘の言う通りでした。 娘に言われたんですよ。 『お父さんも絶対木崎センパイの事を好きになる』って」
オカンに優しく笑いかける早川さんのお父さん。
早川さんのお父さんの気持ちが嬉しくて泣きそうになるのを、ぐっと堪える。
が、隣で早川さんが号泣。
上手く呼吸が出来ていない早川さんの背中を擦った。



