憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 早川さんの家を出て、3人でオレの家に向かう。

 早川さんは、落ち着きなく目を左右に泳がせていた。

 『そんな焦点の合わない状態でよく歩けるな』と関心してしまう。

 「莉子の緊張しいは昔からなんだよ。 莉子、小さい頃ピアノ習ってたんだけどね、発表会の日『もうすぐ莉子の番』って時に吐き散らかして、順番後回しにしてもらったことがあるんだよ」

 『クックッ』早川さんのお父さんが、その時の様子を思い出しながら笑った。

 ・・・莉玖くんの気遣いの上手さは、お父さん譲りだ。

 早川さんのお父さんが、早川さんのオモシロ話でオレの不安を和らげようとしている。

 なんて優しいんだろう。

 ・・・話に乗っかっておこうかな。

 「今日もウチで吐き散らかしますかね」

 「しまったー!! ゲロ袋持って来なかったー!!」

 早川さんのお父さんが、わざとらしく頭を抱えた。

 「ちゃんと飲み込むわ!! ボケ!!」

 そんなお父さんにタックルする早川さん。

 ・・・早川さんは、やっぱり頭があまり良くない。

 そのツッコミ、不正解じゃね??