憎悪と、懺悔と、恋慕。

 

 朝ゴハンを食べ終え、オレの家に向かう支度をする。

 莉玖くんが、身支度を整える早川さんのお父さんに近付いた。

 「お父さんもさぁ、なかなかカッコイイ事するよねー。 見直したわ。 つー事で、帰ってきたら久々に男同士で釣りにでも行こうよ」

 『ふふッ』っと笑いながら『がんばって』とお父さんの背中を叩くと、莉玖くんは自分の部屋に戻って行った。

 「・・・なんつーカッコイイ事を・・・。 あれで見た目さえ良ければなぁ・・・」

 そう言って笑う早川さんのお父さん。

 「ん?? 莉玖、何かカッコイイ事した?? 今」

 首を傾げる早川さんに、早川さんのお父さんが呆れた目を向けた。

 「莉子は、やっぱり馬鹿なんだなぁ。 木崎くんにしっかり勉強教えてもらえ。
 莉玖、木崎さんの家からの帰り道、オレと莉子たちをバラけさせる為に、わざと『男同士で釣りに行こう』ってオレを誘ったんだろうが。 莉子たちが気を遣わずにデート出来る様にって、莉玖の気遣いだろ」

 『顔さえ・・・顔さえ良ければ』と嘆く早川さんのお父さん。

 言うほど莉玖くんは不細工ではない。 と言うか、小学生にしては大人びた顔立ちで、普通にモテそうだ。

 「何回も『バカバカ』言わないでよね。 それに、莉玖ってあれでなかなかモテるんだよ。 ワタシ、バレンタインの日に家の前で莉玖が女のコから告られながらチョコもらってるの見たもん。 しかも、振ったんだよ、莉玖。 莉玖のくせに!!」

 『不細工のくせに調子に乗ってるんだよ、莉玖』何故か憤慨する早川さん。

 だから、不細工じゃないからモテてるんだろうに。

 でもホント、男前の事してくれちゃって。 小学生のくせに。

 オレは莉玖くんの気遣いを無駄にする事なく、早川さんと付き合ってデートをする事が出来るのだろうか。

 今のオカンを、説得する事なんか出来るのだろうか。