憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 「・・・だろうね。 木崎くんだって、自分の父親と不倫した女の家族に挨拶して頭を下げるなんて嫌だったろうに。 それが出来てしまうんだから、彼は凄く立派な人間なんだと思うよ。
 ・・・ゴメンな、莉子。 オレが小さい男で。 ありがとうな、莉玖。 莉玖のお陰で自分の意固地を砕く事が出来そうだ。 莉子、後で莉玖にお礼言っとくんだぞ。 莉玖も莉子を『ブスブス』言いすぎだ。 ちゃんと謝るんだぞ。 
 木崎くん、莉子の事を宜しくお願いします。 ブスでバカだけど、優しいコですから」

 早川さんのお父さんがオレに頭を下げ、優しく笑った。

 「こちらこそ、どうぞ宜しくお願いします」

 早川さんのお父さんの男気に、優しさに、胸が熱くなりすぎて泣きたい気分になった。

 そんなオレをお構いなしに、

 「お父さんも姉ちゃんに謝りなよ。 『ブス』の上に『バカ』まで追加してんじゃん」

 「そうだよ!! 言いすぎなんだよ、2人共!! 木崎センパイも『そんな事ないですよ』とか嘘でも言うべきですよ!!」

 莉子莉玖姉弟がギャーギャー騒いでいた。

 早川さんが何で優しいのか、今日分かった。

 こんなに暖かくて素敵な家族の中にいて、嫌な人間になれるわけがない。