憎悪と、懺悔と、恋慕。



 ---------結局彼らは最後まではしなかった。

 ・・・のだと思う。 時間にして10分位だったと思うから。

 見ていられなかった。 吐き気が加速してしまうから。

 ぎゅうっと目を瞑ってやり過ごすしかなかった。

 途中から、涙を流すワタシを見兼ねてか、木崎センパイがワタシの耳を塞いでくれた。

 2人が部屋を出て行くと、木崎センパイがすぐさまクローゼットを開け、ワタシを引っ張り出し、近くにあったゴミ箱をワタシの口元に当てた。

 「もういい。 吐いていいぞ」

 木崎センパイがワタシの背中を擦る。

 吐いてるトコなんか見られたくない。

 フルフルと頭を振って拒否する。

 「限界なんだろ!?」

 ---------うん。 限界。

 木崎センパイの言葉が引き金になった。

 お弁当なんか食べなきゃ良かった。

 さっき食べた物が勢い良く出てきた。

 全部吐いて。

 吐ききって。

 なのに吐き気は収まらなくて。

 吐ける物がなくなったから、


 「・・・・・・くそばばあ」


 拳を握り締め、代わりに母への怒りを吐き出した。