憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 心の中で反論をしていると、

 「・・・不倫して、こんな結果になった事は、当然悔やんでる。 でも、好きな人に走らなかったとしても後悔が残ってたと思うの。 ワタシはこういう性格だから、痛い目に遭わないと分からない。 後悔してやっと納得するの」

 母が更に理解に苦しむ主張を続けた。

 「・・・厄介な性格」

 莉玖が呆れていた。

 お母さんの言っている事は、若い女の子だったら『奔放で可愛い』で済むかもしれない。 でも、お母さんの歳では『身勝手で痛い人間』にしか見えない。


 「姉ちゃんを『産まなきゃ良かった』って言った事は、後悔してない??」

 押し黙ったまま何も喋ろうとしないワタシの代わりに、莉玖がお母さんに問う。

 自分からは聞けない。

 だって、ワタシにとって不本意な答えだったら・・・。