憎悪と、懺悔と、恋慕。

 
 「莉子も莉玖も、テストの問題は平気で間違えるくせに、他人に対しては絶対に間違った事しないじゃない。 誰かを裏切るくらいなら、自分の欲望を抑える事が出来るでしょう?? でも、ワタシにはそれが出来ないの。 2人からしたら、それは我儘にしか見えないかもしれない。 実際そうなんけど、どうしても出来ない人間っているのよ」

 「・・・・・・」

 お母さんの言い分に納得出来ない莉玖が、無言でワタシに『お姉ちゃんには分かる??』的な視線を送ってきた。

 弟よ、姉も納得出来ないわ。

 そしてお母さん、ワタシも莉玖も、平気でテスト問題を間違っているわけではないですよ。

 確かに2人共勉強が苦手だから、いっぱい勉強しているかと聞かれればしていないのだけれども、ろくに勉強もしないでこんな事を言うのもおかしいとは思うけれど、テストの時は『出来れば高得点を叩きだしたい』という意気込みで臨んでいるんですよ。