「・・・・・・莉玖、1人で行っておいで」
そう言って、そっと後ろに下がると、莉玖が『逃げるな』とばかりにワタシの手を握った。
「お母さんが姉ちゃんに酷い事言ったの、本心じゃないと思うよ、オレ。 オレも姉ちゃんも、お母さんにちょっと性格似てるじゃん。 誰かにすげぇ癇に障る事言われると、その相手にダメージ与えようと、その人が傷つきそうな事をわざと言って、冷静になった時、後味悪くて後悔するじゃん。 お母さんも、多分ソレだと思うんだよね」
莉玖の言葉に、妙に納得する。
だって、この前木崎センパイをわざと傷つけたばかりだから。
「万が一、またお母さんが酷い事言ったら、オレも一緒になってお母さんに文句言ってやるから」
莉玖がワタシの手を引っ張った。
莉玖は小6のくせに、ワタシなんかより周りが見えていて、みんなの気持ちを汲み取れる、凄く優しい人間だ。
「ありがとう、莉玖」
玄関に行き、靴を履き、2人で駅までお母さんを見送りに行く。



