呆然と床を見つめる。
でも、泣かなかった。
悔しかったから。
『ワタシだって、お母さんについてなんか行きたくないですよ』とばかりに気丈に振舞う。
・・・ダメだ。 やっぱり泣きそうだ。
ワタシは、離婚して欲しかったわけじゃない。
お母さんに、不倫を辞めて欲しかっただけなのに。
「そもそも莉子を引き渡す気はない。 莉玖の事も、離婚の原因も話したうえで、莉玖に決めさせる」
お父さんが、お母さんの言葉によって傷ついたワタシを庇っている様に語気を強めた。
お父さんの気持ちは嬉しいけれど、親に愛されないという事は、こんなにも惨めなんだという事を今知った。
お腹を痛めて産んだ子を愛せない事は、お母さんにとっても辛かったかもしれない。
お母さんの気持ちを汲めて、攻め立てたりしない娘だったら、捨てられる事もなかったかもしれない。
でも、お母さんの気持ちを汲む気になれない。



