わしゃわしゃと頭を撫でてくる手。
俺よりもでかくて、冷たいと思いきや、意外と温かい厄介な手だ。
振り払って不満の声をあげる。
「やーめーろって!」
「あはは、ごめんね。」
「大体、俺はお前に助けを求めた覚えなんてねーぞ!」
「そう?じゃあ、俺の願望だったのかな?まぁ、どっちでもいいんだけどね。」
俺の同居人は、翔は、いつもこんな感じだ。
飄々としていて、何にも興味があるようで、何にも興味がない。
掴めそうで掴めない。
雲みたいなやつ……。
「………なぁ、」
「んー?」
「……どうして俺のこと拾ったんだ?」
二年前、何も持っていなかった俺を、コイツは猫でも拾うかのように声を掛けてきた。
正直世の中にうんざりしていた俺は、流されるまま翔についていった。
特段興味があったわけでも、期待をしていたわけでもない。
ただの暇潰し程度。
死ぬ前の足掻き。
そのぐらいの感覚だった。
「今日は難しい質問ばっかだなぁ。そんなに理由が必要?そうだなー……それも気紛れなんだけど、」
翔は考える素振りをするように腕を組む。
本当に考えてんのか……?
「ーーー放してよ!!!」
聞き覚えのある甲高い声。
コンビニに戻った俺達を迎えたのは一人の警官と先程の可愛げゼロ女。
警官に腕を捕まれ、無駄であろう抵抗を続けている。
「あーあ、やっちまったか。」
「みたいだね。」


