「あの…。」
こんな真夜中に彼女の家の前に座り込んでいた俺。
不信がられたのか…?
ふと顔を上げると若い男が俺を見下ろしていた。
「ここって、莉奈ちゃんちで間違いないですよね?」
「は?」
莉奈を莉奈ちゃん、と呼ぶこの男。
直感的に莉奈がさっき口にしていた祐真君、だと感じた。
「祐真…。」
「なんで俺の名前…。」
「俺、莉奈の恋人…です。」
俺は意地になって“恋人”だなんて言ったけど、彼女は本当に俺を恋人として見ていてくれているだろうか?
もう俺なんかに、愛相尽きてしまった?
いろんな不安と葛藤しながら俺は再び祐真君を見た。
「少し、話せますか?」
俺たちは駅前の喫茶店に入りしばし沈黙が続いていた。
「あの…。」
先に話しだしたのは祐真君のほうで俺はふと顔をあげた。
「なんか、あったんですか?」
祐真君は心配そうに俺を見つめた。

