その日のうちに、陽介は、荷物を空き部屋に運んだ。

その部屋はゲストルームで、ベッドもテレビも置いてある。

服を入れるクローゼットの中にも、タンスも入っており、

服や身の回りのこまごました物だけだった陽介の引っ越しは早かった。


・・・その日の晩、私は最初の約束通り、夕飯の準備をした。

「手伝うよ」

そう言って私の横に立ったのは、もちろん陽介で。

私は小さく頷き、陽介に指示していく。

…この複雑な状況に、困惑しながらも、どこか楽しくて、

何とも言えない気持ちになった。


「…仕事続けてるのか?」

「うん、出産も、子育ても、お金がかかるから」

「もう、そんな事心配しなくていいからな」

「・・・え?」

驚いて、手を止めた私は陽介の顔を見た。

その顔は真剣で、2人はオレが守ると言わんばかりの顔で。


「…仕事は続ける」

でも、そう言わなければ、一人で子育てなんかできないし。

出来る限り、貯金もしておきたい。

今までそれなりに、貯金はしてきたけど・・・

学生の時も、バイトで稼いだお金も、半分は貯金してきたから。