看護師さんや先生にウソをついて、

半ば強引に退院した。

・・・久しぶりの自分の部屋。

リビングのソファーに座り込み、溜息をついた。


…そろそろ、陽介が病室についた頃だろうか?

陽介はあの手紙を見てくれただろうか?


…陽介は今頃、怒っているかもしれない。

いや、絶対に怒っているだろう。


産む事を決めたのはいいが、一人で育てると言って、

陽介の前から消えた事。

怒らないはずがない。

でも、私にはそうするほかなかった。

だって、愛なんて永遠じゃないから・・・

何か少しでも亀裂が入れば、すぐに壊れてしまうもろい物。


私のせいで、陽介が傷つくくらいなら、

私から離れればいい…傷つけてしまう前に。

…この家も、早めに引っ越しをしなければ。

でも、身重の体で、引っ越しは重労働だった。


私は、病み上がりの体を押し、引っ越し場所を探しに行った。

・・・そうでもしないと、陽介が、この家に来そうだったから。

今日は休みだって言ってたし、何より、あんな手紙を読んだら、一番に

この家に来るのは分かっていたから。