「…奏、なんで」

美樹がボソッと呟いた。

・・・店に入ってきたのは、美樹の彼氏、奏。

奏の顔は、明らかに怒っていた。


…修羅場にでもなるんだろうか。


そんな言葉が頭に浮かんだ。


「うちの部下たぶらかして、何やってんだよ美樹」

「…奏には関係ない」


「おい、章」

ギロッと座っている章を奏は睨んだ。

章は明らかに動揺している。

…まさか、自分の上司の彼女だったなんて思っていなかったから。


「な、なんですか?」

背筋を伸ばし、そう答えた章。


「さっさと金払って帰れ」

「は!はい・・・行くぞ、雅」

「え、あ、うん」

合コンの為に来ていた二人だったが、逃げるように帰っていった。

…この時疑問だったこと。

二十歳の奏。まだまだ駆け出しのはずなのに、

上司・・・とかって、変、だよね。

と言う事。