…臨月を迎えた私は、いつ出産になってもいいように、

出産道具をそろえ、生まれてから必要な物も、すべて買い揃えた。


「…部屋の中が、育児用品で一杯だな」

そう言って笑ったのは陽介。


「…本当に。赤ちゃんを育てるって、何かと物入りなんだね」

そう言った私も苦笑いした。


着替えに、おむつに、母乳で育てる予定だから、搾乳機。

もし出が悪かったらいけないので、ミルクと哺乳瓶も。

車にはチャイルドシートは絶対いるので、それと、散歩用ベビーカーも。

後は抱っこひも。


…私は赤ちゃんが着る服を手に取った。

「小さいな~。生まれてくる子は、こんなにも小さいのね」

「…そうだな。…俺達がしっかり育ててやらなきゃな」

私の言葉にそう言った陽介は、私の肩を抱き優しい口調で言った。


「うん、愛情いっぱいで、育ててあげようね」

私の言葉に、陽介はしっかりと頷いた。




そんな穏やかな時間を、一本の電話がそれを壊した。