・・・行きたいのにいけないもどかしさにイライラしていた。

「おい陽介、そんなにイライラされたんじゃ、

仕事がやりにくい・・・見ろよ、社員達もお前の顔色ばっか見てんぞ」


そう言って溜息をついたのは奏。


「…悪い、昼間も突然抜けたのに、今も迷惑かけてんだな」

ちょっとバツの悪そうな顔をすると、奏は、オレの肩を叩いた。


「大した事じゃなかったんだろ?今は病院にいるわけだし、

何かあれば、逐一にお前の携帯に連絡が行くようになってんだろ?

今日は、まだまだ仕事は片付きそうにないんだから諦めろ。

明日だって大事なプレゼンに同行しなきゃいけないんだから、愛ちゃんには会えないぞ?

明日の夜には解放できるようにオレも努力するから、お前も今は仕事に集中しろ」


「…分かった、そうする」

奏の言葉に渋々頷き、仕事に取り掛かる。

…が、やっぱり心配だし、今日行けなくなったことを愛に知らせようとメールだけはした。


『悪い、仕事で行けなくなった・・・具合、どうだ?』

『昼間も抜けたんだから仕方ないよ・・・頑張ってね?

私も赤ちゃんも、凄く元気だから、気にしないで…ね?』


・・・凄くなんて嘘だってことは分かっていた。

オレを心配させないように、言ってる言葉なのはわかっていた。

・・・愛の言葉を胸に、オレは仕事に集中する事にした。

明日には会えるのだから。そう思う事にして。