それから数日後の週末。

私は沙織をマンションに呼んだ。

今日はあいにく、陽介は仕事で家にはいない。


「大事な話って何?…ところで陽介は?」

辺りをキョロキョロ見回しながら、沙織が呟く。


「今日は大事な会議があるからって、会社に行ったよ」

「そっか…で、大事な話は?」

急かす沙織をとにかくソファーに座らせ、私はコーヒーを入れに行く。

淹れたコーヒーをテーブルの上に置く。

私はタンポポコーヒーを愛飲していたので、それをテーブルに置いた。



「気になってしょうがないんだけど、早く話してよ」

ちょっと身を乗り出してそう言った沙織に私はフフッと笑った。

「せっかちだなぁ」

「だって大事な話とか言われたら、誰だって気になるでしょう?」

「確かにそうだけど」


そこまで言った私はちゃんと座りなおして、沙織を真っ直ぐに見つめた。

沙織も、ハッとして背筋を伸ばして座りなおす。



「大事な話って言うのは・・・

陽介の事なんだけど・・・

私、陽介と結婚する事を決めました」


「ホント?!」

大声で叫んだ沙織は立ち上がり、私の所まで来ると、

ギュッと私を抱きしめた。