絵の具を溢したかのように何処までも広がる真っ赤な海。 風が吹く度にさわさわと揺れる彼岸花。 その景色を見た者は「綺麗」だと素直に述べるであろう。 少なからず私もその中の一人だった。 その中に一輪の白い彼岸花が咲いていた。 この華をどれ程待ちわびた事だろう…。 あれだけ憧れていたこの華に今は憎しみ…いや、殺意さえ覚えてしまう。 様々な想いを抱きながらも秋穂はそっと白い彼岸花に手を伸ばした…。