人間とは不思議なもので、会ったことがないような相手に呼ばれても、なんとなく、自分が呼ばれているのだと直感的に分かる。 真也の「あのぉっ!!」というのは、確実にあたしに向けられたものだと思ったし、実際そうだった。 あたしは真也の声で振り向き、振り返った瞬間、あたしはとんでもないものを見た。 まず、あたしが落とした(らしい)筆箱を真也が拾ってくれ……ようと、した。