「おい、結依?」
仁との帰り道。
ぼーっとしちゃってた。
「あ…何?」
「何って…せっかく一緒にいるんだからぼーっとしてるなよ」
「…ごめん」
笑うこともできず、うつむく。
こんなのじゃ仁に心配かけちゃう。
「結依なんかあった?」
ほら、こういう時はからかわずに心配してくれるの。
「なんでもない…」
「なんでもなくないだろ?!やっぱり怒って…」
「怒ってないよ!」
大声を出してはっとする。
自分のことなのに、これじゃあ仁に八つ当たりしてるみたい…
私最低だ。
いたたまれなくなって私は走り去った。
結依、と私の名を呼ぶ仁の声を無視して。


