ゆっくりと唇が離れ、黒い瞳がまっすぐに私を見つめる。 「顔赤いよ?」 「…っ…それは…仁のせいだもんっ」 「自分で勝手に顔赤くしといて俺のせいにすんの?」 「ちが…」 言い終わるか言い終わらないうちに再び唇をふさがれる。 仁はずるい。 すぐこうして私を反論させないようにする。 すぐに唇は離れ、 「帰るよ?」 いたずらっぽく笑った。