それから数日後の放課後。


武富君から借りた本を返し忘れていたことに気付いて、昇降口から教室に引き返そうと振り返った瞬間。



「わっ」



「っぶねー」



すぐ後ろにいた人にぶつかった。


そこにいたのはスマホをイジリながら歩いていた虎ちゃん。


ぶつかった衝撃でスマホが床に落ち、カシャンと大きな音が響く。



「ご、ごめん」


「いや、俺はへーき」


「わー、でもスマホが!画面とか割れてないかな」



慌てて拾って画面を確認する。


少し汚れてはいたけど、傷が付いてはいないみたいだったのでホッとした。



「良かった、割れてない。ホントにごめんね」



「はい」とスマホを返そうとしたところで、虎ちゃんからまっすぐな眼差しを向けられていることに気付いた。



「なに?」



なんでそんなにジロジロ見てんの?


なんか気まずいんですけど。