◆◇◆◇ あたしの日常に、 波風なんて立つ予定はなかった。 ・ ・ ・ ・ 「……4回目」 いったいあのヒトは、1時間のうちに何度あくびをするんだろう。 教室の窓から見下ろす中庭の上。 白衣を着た美術のセンセイは、 デッサン中の生徒たちの間をふらふらと歩いている。 陽だまりの中を散歩するみたいなその姿は、 たとえそうでなくとも、あたしの目には退屈そうに映った。