「旬!」


 そう呼ばれた方を向いてみると、


「あ、ミキ!」

 俺の彼女がいた。


 ミキも同じ大学を受けた。

 学部は違うから、また別の所で合格発表を見てきたはずだ。


「ミキ、どうだった?」

 ミキのもとに行って、結果を聞いた。するとミキは、笑顔で


「受かったよ!」

 と言った。


「おー! よかったな! おめでと!」

 俺は心から嬉しくて、ミキにそう言った。


 ミキが受けたのは、この大学で一番偏差値が高くて一番人気があって、倍率も五倍近くある、難しい学部の学科だった。

 ミキは本当にこの大学に行きたがっていて、夏から予備校に通ったり、遊ぶのも我慢して頑張っていたのは知ってるから、俺は自分のことのように嬉しかったんだ。


「ありがとう。……それで、旬は?」

 嬉しそうな顔から、少し深刻な顔になってミキは俺を見上げる。


「ダメだった」

 ミキにも気を遣わせないように、俺は明るく笑顔で言った。


 でもやっぱり、ミキの表情は暗くなる。


「そっか……あ、でも、もう一つ受けた方があるもんね」

 ミキも皆と同じようにそうやって笑顔で言う。


「うん」

 ミキには尚更、手応えがなかったなんて言えなくて、俺は頷いておいた。