蓮さんがいなくなるとチサは私の側へやってきて腕にすがりついた。


「菜月~!私、蓮さんは脈ない気がする!」

「……そ、そう?蓮さん、誰にでも気さくだからわかりにくいだけなんじゃないの?」


チサのためにはここはフォローしておかなきゃ。

更に胸の痛みが増す。

チサは私の言葉に対して首を振った。


「違うよ!菜月の時は違うの。もっと優しい顔してたと思うんだよね」


……フォローしたつもりがフォローされてしまった。


「もういいよ。蓮さん、思った通り忙しい人だし、バレンタインっていうイベントも忘れてたんだもん。

彼女になった人、きっと大変だよ。私、年明けにある合コンで彼氏探すから!」


チサは私のフォローなんて必要ないくらいタフみたい。


「菜月も合コン来ない?」

「……私、そういうの苦手だから」


どうして初対面の人と食事をして楽しいのかわからない。


そりゃ蓮さんみたいに明るく話してくれるような人なら……楽しいかもしれないけど。


チサからの寒い冬を乗り切るせっかくのお誘いではあるがお断りした。