私達より先に歩いてた麻稀が自分の教室のドアに手をかけながら言った。

「ホントだ。着くの早いな。」

「まあ、私達が話してたとこから、あんまり離れてないし、急いでたからね。」

「そっか。」

麻稀のクラスが二組だから、私達の教室は隣。
走る距離はないな。
ましてやかけっこなど、できるわけもない。
由羽はそのことを知って残念そうにしてるかと思えば、全然気にしてない顔をしていた。

やりたかったんじゃなかったのかよ、かけっこ。

そう思ったが、ここでやりたいと言われても困るだけなので得には気にしなかった。

「それじゃ、私教室入るね。早く雰囲気にも馴れたいし。」

「あ、うん。わかった。」

「それじゃ、また。入学式の会場で会おうね。」

そう言うと麻稀は教室の中に入って行った。
最後に私達のほうを見ると、無言で手を振ってくれた。

それを見届けた後、由羽と私も自分の教室に入った。



今日から私達の新しい物語が始まった。