『大野ぉぉぉおお!寝てるんだったら廊下に立ってろぉぉお!』

「・・・へ?」



目の前には・・・











学校の先生がいた。






いまいち状況がつかめないあたしは
とりあえず先生が指示した通りに廊下に出た・・・






・・・さっきのあたしは夢の世界にいたみたい。

あたしは大野帷梭(おおのいさ)

この季秦高校(きしんこうこう)の2年生!
明るく元気で成績優秀な可愛い女の子ってまわりからいわれるけど・・・

あたしのどこが可愛いのか・・・自分では全くわからない。



あたしの唯一自慢できるところといえば・・・





家柄・・・かな?

あたしのお父さんは大企業の社長だから
お金には困らない!

家柄の事はみんなには内緒にしてある。


だって、特別扱いとか・・・嫌だもん。




それにしても・・・
なんでイッシーの授業で寝ちゃったんだろう・・・




イッシーこと石川清(いしかわきよし)先生は、

”季秦の鬼”といわれるほど一番怖いと恐れられている先生だ。



・・・ずっと警戒してたのにー

どうしよう。イッシーに目つけられたら・・・




今更ながら寝ていた時の自分を恨む。




「んーもぉっっ・・・あたしのバカぁー」




あたしは誰もいない静かな廊下でひとり、つぶやいていた。