「ありがとうございました〜!また来てくださいね〜!」


聞き慣れた声に、足を止める。


『Angie』よりも落ち着いた色みの店の前で、背の高い男の客を笑顔で見送るゆず。


「ああ、また来るよ。そん時はまたあんたが相手してくれよな」


短髪の、ちょっと悪そうな男だった。


それでもゆずに向けられる目は優しげで、特別な思いが込められているようにも見えた。


「もちろんです!お待ちしてま~す!」


にこにこと手を振るゆず。タクシーに乗った客が行ってしまい、そのまま店に戻ろうとして―――


「―――要さん?」


驚くゆずの目の前に、不本意そうに顔を顰めた要が立っていた・・・・・。