「あの、ひとつ聞いてもいい?」

幸姫が聞くと、小十郎はなんだ?と聞き返してきた。

「今の総理大臣って…誰か分かる?」

幸姫の言葉に、小十郎はきょとんとした顔をする。

「そう…?なんだそれは?」

今度は小十郎の返答に絶句する。


ちょっとまって。
総理大臣が通じてないの!?


確かに、今の総理大臣の名前が、ちょうど交代したりなんなりということがあれば、あやふやになることもある。が、総理大臣自体が何なのかがわからないのはさすがにおかしい。

「あの、ここってどこなの?」

今度は幸姫の言葉に、小十郎が怪訝そうな顔をした。

「何を言っている。ここは奥州、伊達政宗様の領地ではないか」

「はぁ!?」

小十郎の言葉に、思わず大声を上げる幸姫。
開いた口がふさがらない。


いいい…いま、伊達政宗とか言わなかった?


歴史の授業で必ず聞く名前。
大河ドラマなんかでも確か昔、題材になったことがあるくらい。

「だ…伊達政宗って…あの、右目に眼帯した…?」

恐る恐る聞いてみると、小十郎はパシッと幸姫の頭を叩いた。

「無礼な。政宗様とお呼びせんか!」


う、そ……



あまりの出来事に、幸姫は思わず卒倒した。