…なんだこいつは。
みんなに怖がられてること、気づいてないのかな。
「……。」
目の前にやってくると、椅子に座ってるあたしを上から見下ろした。
「……何」
「お前、名前は?」
えっらそーに。
なんて奴だ。
「……大谷椎榎」
負けずに睨み返す。
「俺の名前、知りたい?」
男はニヤリと笑う。
「別に」
即答。迷う時間なんて勿体無い。
「はぁー?んだと?」
「何よ」
「……宇津井浩之だ。覚えとけっ」
うつい、ひろゆき。
あいつは頭を掻いて、教室を出て行った。
……なんだ?あいつ。
「うっちゃん可愛い〜」
唯抖は出て行ったあいつを見て笑ってる。
「……どこが」
あいつの可愛いとこ、一つも見当たらない。
「俺だけ、みたいな感じ〜?」
頭を傾げながら言う唯抖。
君の方が可愛いのだぞ唯抖君。
「何俺だけって」
「……椎榎も鈍感だね〜」
唯抖はやれやれといった感じで教室から出て行った。
続いて、淨弥君と靖杜も出ていった。
……みんなそろって、
どこに行くんだろう。
てか何。
あたし鈍感って。
あたし鈍感じゃないし。
正常な人間ですから。