沙弥は、
声が出ないほど強く叩きつけられてしまった。


《…サヤ様、そんな程度ではこれから先が危ぶまれますよ。》


さっきとは打って変わったウサギの態度に、
沙弥は唖然とするばかり。


「…あたし…はっ!

まだ魔術初心者…なんだよっ…!!」


地面に伏せていた顔をあげ、
必死に釈明した。


《…ですから、私が教えて差し上げようと言いましたよね?

あなたは、
魔界の国の姫。

魔術の才能はあるはずです。

…では、続けますよ。》


そう言って、
また風を使った魔術の呪文を唱え始めた。


《『吹きすさぶ風よ!
我が命令に従い、
敵を戒める矢となれ!』》