「それはありがたいけど…。

【最後】、って?」


ウサギは少し俯いた。


《…もう、時間がないんです。》


それはいかにも深刻そうな様子だった。


沙弥はそれを察知して、
優しく微笑んだ。


「……そっか。
じゃあ、早速やろう!
残り少ない時間を有効に使うためにも。

…ねっ?」


沙弥はウサギの頭をポンポンと撫でた。


ウサギは瞳を少し潤ませたが、


すぐに目付きが変わった。


《…まずは、
『風』の魔術を。》


このウサギの一言で、
魔術の猛特訓が始まった。