その日はこなかった。

いや、“その日は”ではない

“その日も”だった。

次の日もその次の日も

あれから一、二週間

私に会いに来てくれる聖人は

突然現れなくなった。

でも一度だけ、聖人の姿を見た。

移動教室で、たまたま2年と3年が

交わる廊下。

男女ともに人気のある聖人は

クラスのみんなに囲まれていた。

そして、その中心にいた聖人は

私がいることに気づいた。

目もあった。けど、

何もなかったように

そのままいってしまった。

大きな壁ができてしまった。

いつもなら「先輩」っていって

飛びついてくるはず。

目が合ったら笑ってくれるはず。