食器も洗い歯磨きもした。あとはお弁当を鞄に仕舞うだけだけど……今更雷斗くんにお弁当を渡してもいいものか悩み初めてしまった。よく考えたらこんなにも国宝級美男子なんだもん、彼女の一人や二人いますよね。お弁当なんて渡して誰が作ったのよ、とか喧嘩になったら大変。やっぱり渡すのはやめておこう。


 自分の分のお弁当だけを鞄に入れた。


(もったいないけど夜ご飯の時にこっそり食べればいいよね)


 バレないうちに冷蔵庫に……あれ?


 後ろからヒョイッとお弁当が抜き取られる。


「これ俺の分の弁当だろ? 何しまおうとしてんだよ」


 ちょっと怒った顔、ジィっと私の答えをまつように見てくる。


「えっと、だってっ雷斗くん国宝級美男子ですし、よく考えれば彼女とかにご迷惑かなぁと思いまして、私がここにいることは他言無用でお願い致しますぅっ」


 頭をぐわっと90度以上下げて懇願する。


「ははっ、彼女ね〜、俺に彼女がいるかいないかは学校につけばわかるよ。だから弁当は貰っていくからな」


 ニヤリと笑い雷斗くんは鞄にお弁当をしまいながら「ほら、行くぞ」と私の頭をゆっくりと数回撫でると玄関に向かった。昨日とは別人の見た目だけれど、眼鏡の奥の優しい瞳はやっぱり雷斗くんだった。


(頭が熱いです……)


 雷斗くんが撫でた私の頭は暫く熱いままだった。