「なんじゃ、メリフェトス! その情けない飛び方は!」

「私は我が君と異なり、アーク・ゴルドより引き継げた魔力が少なかったので……。よっと」

 どうにかうまくバランスをとって、メリフェトスが隣にくる。そんな彼に、アリギュラは機嫌よく鼻を鳴らした。

「どうだ! わらわ一人で、異界の魔獣を下してやったわ! これで、聖女の役目とやらも真っ当できたな!」

「素晴らしい戦いぶりでした、我が君。ですが、今イベントにおけるお役目完了はまだでございます」

 モノクルの奥で瞼を閉じ、メリフェトスは恭しく答える。首を傾げるアリギュラに、魔王軍一の知将は背後の城を手で示した。

「ご覧ください。ただ今の戦闘で、城の一部に傷がついてしまいました。アリギュラ様は女神に遣わされた聖女あらせらえるので、戦闘の傷跡はすべて癒さなければなりません」