力強いジンの腕と
悲しそうなその表情に
泉海さんの気持ちを感じる。


きっと彼女は
こんな風に”大丈夫”と
優しく言って欲しかったのかもしれない。


手を差し伸べてあげられていたら
もっと笑っていたかもしれないのに。

どうしてそのSOSに
気付いてあげられなかったんだろう。


考えれば考えるほど
込み上げる悲しみと苦しみ。


アタシはしばらく
ジンの腕の中で泣き続けていた―――





その後。


幸いにも早くに気が付いたからか
泉海さんの容態は安定。
けれど精神面の回復も含め
しばらく入院になってしまった。

呼んでも反応を示さなかったのは
深い眠りに堕ちていたせいだと聞いている。


ジンは今回の事で
『俺のせいだ』だと自分を責めた。
同時にアタシが何かトラウマに陥ったんじゃないかと
心配してくれたけど
もっと苦しい思いをしていた泉海さんを考えれば
全然たいした事ないと伝えた。

それよりも…
もうこんな事は二度としてほしくない。
その気持ちの方が強くて
しばらくそのショックから立ち直れずにいた。