『そういう事なんで仕事戻りまーす』と
手を振りながら会議室から去っていってしまい
少しして入れ替わるように現れたのは…


「セツナ?」

「あ、ジン!」


今のは聞かれなくて良かったぁ…。
またあのコの胸倉を掴みかねないからね。


「今からの会議で使う広告の事なんだがな」

「う、うん」


手元の資料を2人で見ながら
仕事の打ち合わせで話をしているだけなのに
どうにも昨夜から今朝に掛けての事もあり
目が合うと妙に意識してしまう。

それはジンも同じだったようで…


「なんか…変な感じだな。
 すげぇ緊張してる」


目を逸らして照れるから
こっちまで恥ずかしくなってしまう。


さっきの風見くんの時もだけど
ココは真昼間の会社の会議室!
誰もいないからって
いつどこで誰が見てるか…――


「セツナ…」


トン…と壁に手を付き
斜め上からアタシを見つめてくる。

風見くんの次はジンまで…
2人とも本当に
どうしちゃったの。
ココはそういう場所じゃないのよ。

そんなの
わかりきっているのに…


「んッ…」


理性のブレーキは呆気なくて
あっさりとキスを受け入れてしまっていた――――