戸惑う私に拓巳は慣れた様子でウェイターを呼びオーダーをしている。

海外への添乗も多いため、こういった場所には慣れているんだろう。

そう言えば、レストランに入るときのさりげないエスコートも見事だった。


だけど、本当にどういうつもりなんだろう。

誘われた時はこんな所へ来るなんて思いもしなかったし、軽い気持ちでOKしたけど、これじゃまるで恋人同士みたいじゃない。

テーブルのキャンドルに浮かび上がる拓巳の横顔が、何だかいつもよりも優しく見えてドキッとしてしまう。

ロマンティックな雰囲気に二人きりは、気持ちを抑えるのに必死な私にとって、かなり苦しいものがある。


胸が高鳴って

苦しくて

いつもと同じように笑えている自信が無い。


どうして? 



なぜ今日に限って、こんな風に私を誘ったの?