「綾乃……」


わたし以上に落ち込んでいる千景くんに笑ってみせる。


「それに寝たらすっかり回復しちゃった。心配させてごめんね」


「俺の前では強がらなくていいから。弱さとか綾乃の全部、さらけ出してほしい」


「千景くん……」


そんな申し訳ないみたいな顔をしないでほしい。
わたしまで苦しくなる。


「正直まだちょっと怖い気持ちはあるよ。この先の学校生活とかね……不安、かな」



本音をついもらしてしまった。



「ああ、あいつらね」


低くなった千景くんの声は、ヒヤリとするほど冷たくて。


「そのことならもう手を打っといたから、今後綾乃が心配することはなにもないよ」


え?


「綾乃を傷つけるヤツはこの俺が許さない」


なんだか答えになっていないような気がしたけど、千景くんはそれ以上話そうとしてくれなかった。