「(胸のあたりが少し苦しいかも…)」


特に盛っているわけではないのだけれどそのように見えてしまう。
サイズが少し小さいだけだと思うし、今日1日だけならなんとか我慢できそうだ。
それにスタイルが良く見えて、女性らしさが出ているから皇女として目立つにはいいのかもしれない。


そして次々と身支度が進んでいく。
いつもハーフアップにしている髪は綺麗に結んでまとめられ、首や耳にはドレスに合ったこれもまた新しい宝石のアクセサリーもつけられた。

化粧もいつもより濃いめで、これで準備万端!と思った時に、待ってましたと言わんばかりに部屋の扉が開く。


するとラナたち侍女はすぐさま一斉に頭を下げ始める。



「シャルロット、様子を見に来たわよ〜」


「お母様!」


皇后であるお母様は侍女長を筆頭にぞろぞろと部屋にやって来たのだ。

するとお母様はすぐさま支度の整った私を上から下まで舐め回すように厳しい顔で見つめてからふっと元のにこにこ笑顔に戻す。



「さすが我が娘ね!16歳とは思えないくらい、バッチリドレスを着こなしているわ。あなたの大人っぽさは…昔の私と一緒ね」


そう言って懐かしむかのように私を見つめる。
お母様も私くらいの歳の頃はさぞかし男性にもてていたのだろう。
今の美貌を見ていれば軽く想像がつく。



「ありがとうございますお母様。とても素敵なドレスなので私に合うか不安だったんですが…」


「何を言っているの!とっても綺麗よ、シャルロット。ほら自信を持ちなさい。今日は華々しいあなたの社交界デビューの日なんだから」


ぽんぽんっと肩を軽く叩かれて、私はお母様と顔を見合わせて笑った。