「それじゃあモモは、私のために? 私のそばにいるために、鳥になってまで追いかけてきてくれたの?」

「あら、お礼はよして。あたしがしたくてやったことよ。それに、そもそもの原因は妹の過失。あたしはさーちゃんに何もしてあげられなかったわ。今のさーちゃんがあるのは、あの王子様のおかげでしょ」

 モモはしっかり主様のことも知っていた。当たり前のように告げるモモは本当にずっと見守っていてくれたんだ……。
 私はモモに手を伸ばしていた。

「もちろん私は主様のために生きてきた。けど、そのための力をくれたのはモモなんだよね? だから、やっぱりありがとうだよ。モモ」

「さーちゃんっ! 昔からおばあちゃん子の良い子だなって思ってたけど、本当にさーちゃんは素直で良い子に育って! 弥生さんの教育のたまものね!」

「褒めても何も出ないよ?」

「いいのよ。あたしは心からそう思っているんだから。ね、さーちゃん。これからはまた一緒ね!」

 一緒にいてくれるのかと、私はモモの顔を見つめ返していた。

「やっと話せるようになったのよ。今までは影から見守ることしか出来なかったけど、これからは堂々と、友達として話せるわ。嫌って言っても、勝手にさーちゃん家の前に巣を作ってやりますからね!」

「外!? 家の中に入っていいのよ!?」

「何かあった時に外の方がさーちゃんの役に立てるでしょ。今までもそうしてきたしね」

 いつも危険が近づいていると教えてくれたのは、偶然でも気のせいでもなかったらしい。

「あたしはさーちゃんの役に立ちたいの。さーちゃんがあの人に抱いている気持ちと一緒よ。さあさあ、これからもたーくさんモモねえさんをたよりなさい!」

「モモ……」

 私は自分を孤独だと思っていた。けど私は、ずっと一人じゃやなかった。気付くまでに随分と時間がかかってしまったけれど、こんなにも頼もしい友人がそばにいてくれた。
 やっと気付けた優しさに、私はもう一度感謝を告げていた。