「ぎょえ!」
「ぎゃっ!」
「きゃあ!」

 汚く濁った叫び声の中に、私の悲鳴が混ざる。しかも、三人の声がエコーにかけられたように、この空間に響き渡った。

 声の主は、暖かそうな白い毛並みで覆われた、犬のような生き物だった。

「お……起きとったんなら、はよ言わんかい!」

 体を少しピクピク震えさせながら、一体が私を責めてきた。

いや、それよりどうして犬と会話できてるの⁉

「えっと……犬さんたち、喋れるんだね」

「馬鹿者! ワシらは狐じゃ!」

「そうじゃ! 神様にお仕えする白狐(びゃっこ)じゃぞ!」

 思わず聞いてしまった質問に、頭からプンプンと空気を出しながら怒られてしまった。

 でも、神様ってどういうこと?
それにここはどこなんだろう。

 頭が混乱していて、白狐たちに謝罪も忘れ、スマートフォンで時間を確認した。

「え、つかない。なんで」

 いくら電源ボタンを押しても、画面に光が灯ることはない。充電はほぼ百パーセントだったはずだ。いきなり切れるわけがないのに。

「お前、この山がどういうところか知らずに来たのか?」

 いきなり真剣そうな声のトーンで話しかけられた。背筋がスッと冷たくなって、鳥肌が立つ。

 なに? どういうこと? 確かにそこまで調べてないけど、まさか、心霊スポット的な何かなんじゃ……。