それでも───
『真面目な女って清楚に見えるから男ウケ良さそうだよね』
『真面目なくせして案外色目使ってたりして?』
わざと聞こえるような声で、“多少の”嫉妬を向けられることはある。
それがひどく心地悪い。
生きている上で嫉妬はつきものだ。
それなら私は、いっそのこと───
「水葉くんが真面目になるのなら、関係を持つことを受け入れます」
彼にたがを外してもらおうか。
「そうこないとね」
ニヤッと悪そうな笑みを浮かべる彼はきっとわかっていたのだろう。
私がどのような選択をとるのか、なんてことは。
「じゃあ明日、楽しみにしてて。
真面目な生徒に返事してあげるから」
そう言って彼はまた私の唇にキスを落とすなり、起き上がって解いたリボンをもう一度私に付け直した。
そして保健室を後にした彼を見送れないままベッドに横たわっていた私のシャツのボタンは、上ふたつあけられたままだった。